Katheudoo makarios

カセウドーマカリオス。眠る幸せ。眠たい眠たいと口癖にしながら生きているのんびり人間の場所です。日向ぼっこも趣味にいれつつゆっくりしていきますよっと。

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『死ぬまで借りたぜ』

大量の本、その上にあの魔法使いのように偉そうな紙切れ一つにこう書いてある。
そう、魔法使いは死んだ。知り合いに約束した、返す期間を設け、そして約束を守るようにここにおいてある。
埃はついていない、乱暴に扱っていると思えばそうではなく、新品同様の本となって帰ってきた。逆に言えば、触りすぎてぼろぼろになっていたほうが安心できたのかもしれない。

そうでなければ、魔法使いはこの世に初めからいないと思えることはないであろうに。
性格に難はあれど努力家の精神の中には大事に扱う心もある、人生を不器用に生きて手先だけは器用なあの白黒には、私みたいに喘息があろうとなかろうと変わらないであろう。そうこの本は言っている、所々に挟まれた栞ではないメモ書きにはメガネ着用を推奨する細い文字の列ができている。半分書くだけでも半日は軽く超えよう量だ。

そのメモ書きの左上の空欄にはご丁寧にも書いた日にちを入れている。みみずに近く書道に遠い文字は間違いはない。実際にメモに書いてある魔法陣を書き実演してみれば誤作動なく正常に動作する。魔法使いといえど間違いはするものであり確率は100%にすることは事実上不可能に近いはずなのに、このメモの主は当然のように書いてしまった。


「・・・何が私を超える。よ、超えるどころか遠くにいっていって・・・帰れないところにまで歩いて・・・。」


追いつけない距離ができてしまった。魔術でも人生でも、100歳の苦労をこの魔法使いは寿命をほぼ使い解決してしまった。私は少し反省をすべきであろう、この魔法使いに約束したこと、それらをふまえて。
けど、もう此処にはいない。どこを探しても、どんなに重たい足を進めても永遠に届かない。言葉は無意味になって図書館に響いていく。魔法の限界だった。

霧雨魔理沙。

死ぬまで借りて死んで返してきた魔法使いの”人間”。私やアリスとは違う妖怪ではない人間。遠くにいって二度と顔を見せに来ない泥棒魔法使い。目標を超えてなお、目標を目指す不器用な向上心。

魔法使いの念願叶って死ねるなら本望であろうか。否、彼女にはまだ目指すものがあった。私を超え、アリスを超え、そして胸を張ってあの亡霊に笑顔で振り向けれるように、それをただ願っていただけのかわいくてかわいそうにできた魔法使い。充分にいきすぎた、他愛もない諸い人間。

窓をいくら割って進入しただろう、本棚をすかすかになるぐらい盗んだだろう、実験中にどれだけ邪魔をしてきただろう、どれだけ私は恋しかったのだろう。叶わない今と叶っていた昔を思い浮かべ、頬になにかが垂ていく。
初めての感情だ、私は迷惑だった、あのお邪魔虫がいなくなってくれればどれだけ清々するだろう。紅茶がまずい、アイツのせいだ。私は悪くない。

言葉を並べれば簡単で、思い浮かべば感嘆だった。


「・・・あの、馬鹿な白黒め・・・。」


私はそう言葉にするだけで精一杯だった。
迷惑だった、けれど私にはすべてが新鮮で明るくて、目が痛くなるぐらいに輝かしい日々だった。
馬鹿馬鹿しい、否定の言葉を言ってみても、素直に受け入れれない私がいる。本棚を壊されても直して怒っていたあの日々が懐かしい。その苦労を知らないで気楽な顔でいつも来て、「暇人」からの挨拶だった。

暇人。そう思っていた、けれど違った。あの魔法使いには寿命がある。一日が今の私の十年にも二十年にも及ぶ価値ある時間。止まることを知らない永遠に永遠にたどり着けない。あの魔法使いは暇があればここに来るのではなく、暇がないから私の所ばかり来ていた。気付けばもうおそい。問答無用に魔法の人生は終了した。


「もう少し、もう少しでも耐えてみなさいよ。・・・馬鹿野郎。」


その少しが私の中での一秒でしかない、ただ一言、言うだけの時間はあっていいものだろうに。
人生は嘘つきだ、嘘な思考ばかりを寄せ付けて大事なことを忘れさせる、嘘つきな魔法使いという嘘を与えて、私をこうも後悔させる。

ため息しかでない。或いは、初めてのため息かもしれない。ここまで重くここまで心を悲しくさせるのはため息以外のなんなんだろう。教えてほしい、あの馬鹿野郎でもいい、とっととここに来て教えてほしい。

この気持ちはなんなの。
この悲しみはなんなの。

「この頬っぺたを通るものは、いったい、なんていう名前なの。」

それを教えてくれる魔法使いは、もう此処には二度と来ない。
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